今の時代、食糧が溢れている。
でも気をつけないと現代食には問題がいっぱい。
健康情報を鵜吞みにしてると慢性病が避けられないかも。
慢性病は現代食から
メタ炎症の秘密 慢性病は現代食から 続新・免疫革命
著:崎谷博征
今は崎谷医師の著書でパラダイムシフトシリーズを読み直しています。
現代食からと書かれているので、食事法かと思いきや全然違います。
そしてこの本もなかなか難しい。
何が書かれているか大雑把に言うと・・・
微生物と免疫の関係。
そして、脂肪をエネルギー源とすることで起こるメタ炎症。
この中で「メタ炎症」という言葉が聞き慣れないと思います。
メタ炎症とはメタボリック炎症を略した言葉です。
ではメタボリック炎症とは何ぞや?
という事で、私の無い頭をしぼって、この本をまとめていきたいと思います。
微生物と免疫の関係は?
最近は腸内環境について語られることが多いせいか、気にして発酵食品やサプリなんか摂ってる人も多いんじゃないでしょうか?
メーカーさんは巷の流行りに合わせた商品を開発するので、お店に腸内環境に良いという商品が多くなります。
メーカーさんが売るため、利益を上げるために作ったのであって、本当に体に有用な商品なのかというと、そうともいえないのです。
腸内細菌がいなくなると健康になる?
過去の研究でマウスの腸内環境を無菌にしたら、そうでないマウスよりも長生きしたとか。
なんとビックリな!
私たちがあれほど腸内環境、腸内環境と、発酵食品を摂ったりしているのに、無菌の方が健康だなんてどういう事なんだ?
と思えてきちゃいます。
この理由はエンドトキシンという毒素が関係しているからです。
エンドトキシンとは内毒素のことですが、エンドトキシンは腸内細菌から産生されます。
このエンドトキシンは腸粘膜にリーキーガットがあると、そこから血流に入って全身に炎症を引き起こす切っ掛けとなります。
無菌であればそれも起こらないというわけです。
また最新の研究では、腸内環境を無菌にすると糖のエネルギー代謝が高まることが分かったそうです。
さらにインスリンの感受性もアップするのだそうです。
インスリンの感受性アップは糖代謝を高めます。
腸内を完全に無菌にすることは現実的ではありませんが、腸内微生物の増殖を抑えて菌の多様性をキープすることが一番良いということになります。
(単一のバクテリアだけ過剰増殖させてはいけない)
健康であるからこそ、この多様性もキープできるわけで、プロバイオで腸内細菌を外から摂ったから腸内環境が良くなり、それで健康になるわけではないようです。
このように書かれていますが、とても意味深いですね。
プレバイオ・プロバイオは悪影響を及ぼす?
腸内環境と言うとプレバイオとかプロバイオとか聞きますね。
腸内環境にいいみたいな。
でも様々な研究で悪い影響を与えている報告があるようです。
これをやることで・・・
- 小腸内にバクテリアが増殖する(基本小腸は無菌)
- 乳酸が過剰に産生、腸から血中に入り脳にダメージ
- 腸の状態が悪いと真菌血症、バクテリア血症、腸粘膜の虚血症状
いくらプロバイオを投与しても腸内に生着するのは少数で、ほとんどが便で排泄される。
そうすると、「生きて腸内に届く」とかCMありますが、あれは一体何なんでしょうね?
腸内環境はその人の土壌しだい
いくら外から有用菌を入れても意味がない。
悪玉菌を例にとると、その菌が悪さするかしないかは、その人の土壌(体の状態)しだい。
逆に善玉菌と言われる菌であっても、土壌しだいでは病原性を持つ菌になるという。
本来、菌に良いも悪いもないのですが例えて言えばこういう事です。
菌が原因で何らかの病気になったとすれば、それは菌のせいではなく、その人の土壌が悪かっただけ。
畑でもそうですが、土壌が良ければ作物はグングン成長します。
土壌が悪ければ肥料をやろうが何やろうが作物は成長しません。
著者は、
「腸内細菌のバランスが健康状態を決定する原因ではない」
「腸内細菌のバランスは健康状態の結果を反映したもの」
ホントそう思います。
「また、腸内細菌のバランスを戻すためには、腸内細菌をいじくるのではなく、自らのエネルギー代謝を高めないといけない」
そうなんです!
自分の代謝を高めて元気な状態になれば、それに合った腸内細菌叢ができあがるってことです!
ということで、腸内環境云々と宣伝している商品は、嗜好品であってそれ以上の役には立たないということになります。
メタ炎症とは?
高脂肪食によって以下のことが起こります。
脂肪分解 → インスリン抵抗性 → 炎症
こういう事が起こりうるのですが、現代に多い高脂肪食を頻繁に食べることで、体内に慢性炎症を引き起こす。
肉料理をたくさん食べなくても、あらゆる物に植物油脂が使われている。
これらも高脂肪食になります。
脂肪分解 → インスリン抵抗性 → 炎症は、以前ブログで紹介した「ランドル効果」も関係しています。
ランドル効果とは?
「糖がエネルギー源として使用されると、脂肪はエネルギー源として使用されず、脂肪がエネルギー源として使用されると、糖はエネルギー源として使用されない」
要は脂質がエネルギー代謝の材料にされると、糖を材料にしたエネルギー代謝が行われなくなるということ。
それによって、脂質代謝→インスリン抵抗性→慢性炎症になりうるという事です。
インスリン抵抗性
インスリン抵抗性とは?
「インスリンに対する細胞の反応性の低下」
のことです。
ではインスリンの役割は?
「糖の細胞内利用と脂肪合成」
抵抗性とはこの作用の逆の作用になるという事ですね。
細胞内で糖が利用できないから、血中に余って高血糖になったということ。
細胞内で糖を利用できなければ、他のエネルギー材料を使わざるを得なくなります。
その時に使う材料が脂質になるわけです。
高血糖というのは細胞が糖を利用できなくなって、血中に余ってしまった状態と言えます。
もう一つの問題は、脂肪をエネルギーの材料にすると、活性酸素種、活性窒素種が過剰に発生し、炎症のスイッチを入れてしまうのです。
メタ炎症で重要な組織
脂肪
高脂肪食で使用されない余剰の脂肪は脂肪組織に蓄積。
皮下組織そして内臓組織に蓄積。
この脂肪が不飽和脂肪酸だった場合は自動酸化で過酸化脂質(アルデヒド)ができます。
そして肝臓や心臓など本来の場所でない所に脂肪が蓄積し、インスリン抵抗性になりメタ炎症が全身に拡大する。
筋肉
筋肉は体の40%近くを占める最大の器官です。
食後の血糖はインスリンの作用により全体の80%の糖を取り込みます。
この筋細胞がインスリン抵抗性になると・・・・
血中の糖は使われず高血糖になるという事です。
また筋組織は遊離脂肪酸をエネルギー源にできる最大の器官。
脂肪組織に蓄えられない余剰の脂肪は筋肉内に取り込まれる。
これが高級肉で言う所の霜降り肉です。
霜降り肉というのはメタ炎症を起こした病的な牛の肉なのです。
肝臓
肝臓がインスリン抵抗性になると新糖生がおこなわれる。
新糖生とは脂肪やタンパク質を砕いて糖に変換する代謝の事です。
これが起こる理由は、脳や赤血球のように糖しかエネルギー源にできない組織に糖を回すためです。
また肝臓はケトン体を産生し筋肉などに供給。
でもこれは糖が無い場合のバックアップ機能なので、これがメインになると問題がおこります。
なので低血糖という急場をしのぐための一時的な処理に留めておく必要があります。
この状況が慢性化するとインスリン抵抗性が続くことになり、脂肪をエネルギー源として燃焼。(ランドル効果)
そして、ミトコンドリアから過剰発生する、活性酸素・活性窒素種によってダメージを受ける事になるんだそう。
高脂肪食で問題となるのは多価不飽和脂肪酸
こうやって見てみると、悪いのは腸内で過剰産生されるエンドトキシンと高脂肪食になります。
脂質は大きく2種類。
不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸
ここで問題となるのは特に不飽和脂肪酸の方です。
不飽和脂肪酸とは・・・
オメガ3とオメガ6脂肪酸
代表的なものとして、DHA/EPA、アマニ油、えごま油、一般的な調理油。
これらは多価不飽和脂肪酸といわれるものです。
ちなみにオリーブ油は一価不飽和脂肪酸で、多価不飽和脂肪酸ほどの問題は起こさないようです。
問題を起こす詳しい機序まで本には書いてあります。
ただ結構難しいので知りたい人は是非本を読んでみてください。
端折って言うと・・・
- 高脂肪食(オメガ3、6)によって余剰な脂肪酸は脂肪組織に蓄積
- 脂肪組織の肥大で低酸素状態になる
- 低酸素状態の持続で脂肪組織内で炎症
- インスリン抵抗性が高まり脂肪分解
- 遊離脂肪酸から炎症ゴミが出る
- メタ炎症
本当はもっと細かい機序があるのですが、まとめるのが難しいのでこれで勘弁。
メタ炎症を改善するには?
一番問題となるのは食事に含まれる脂肪。
特に近年大量に使用されている調理油に代表される多価不飽和脂肪酸。
そして、腸内環境。
リーキーガット
リーキーガットとは腸粘膜のダメージによって、通常では粘膜を通過できない未消化の物質などが、このダメージによって粘膜を通過し吸収されることを言います。
これを何とか改善する必要があります。
アルコール
アルコールはリーキーガットを起こすため、エンドトキシンが腸粘膜から血流に入り、全身炎症を起こします。
また小腸内細菌異常増殖症では腸内バクテリアの多様性を低下させます。
加工食品に必ずと言っていいほど入っている乳化剤。
この乳化剤、洗剤で言うところの界面活性剤と同じようなものだそうな。
なぜそんなものが食品に?
これは水と油なような本来なら混ざり合わない物質を混ぜ合わせるのに使う物のようです。
この乳化剤は腸粘膜にリーキーガットを引き起こす。
それによって全身に炎症を引き起こすきっかけを作ります。
しかも乳化剤は小腸での脂肪の吸収を高めるんだそうです。
脂肪がメタ炎症の原因なのに、その脂肪の吸収を高めるとは・・・
これらの物質は避けたい
食品添加物が体に良くないのは誰もが知っていること。
しかし、スーパーやコンビニで売られている食品には、間違いなく何かしらの食品添加物が入っています。
乳化剤もそうですが人工甘味料も問題が多い添加物です。
ノンカロリーと聞いて体に良いイメージを持っているなら大変危険です。
こんな物を使った食品を飲食するくらいなら、普通に砂糖を摂った方がうんといい!
クエン酸
クエン酸も体に良いものとして認識されていると思います。
でも単体で摂るのはやめた方がいい。
これもメタ炎症を引き起こすのだとか。
しかも、糖のエネルギー代謝を止める作用もある。
増粘剤
これは食品にとろみをつける目的で使われる様です。
しかしこれは腸内環境のバランスを崩す代表的な物質なんだとか。
この物質は人間の腸では消化が難しい反面、腸内微生物にとってはエサとなるため、過剰増殖を引き起こします。
エストロゲン作用物質
エストロゲンと聞くと体にいいというイメージありますか?
一般的にはあまり聞かれないかもしれませんが、エストロゲンが過剰になると炎症が促進されます。
エストロゲンはできるだけ避けた方がいいのです。
アルコール、タバコの煙、排ガスなどもエストロゲン作用物質です。
バクテリアの血液侵入ルート
バクテリアが血液に侵入するのは腸粘膜が多いのですが、その他にもう一つバクテリアの侵入ルートがあります。
それは口腔内。
歯周病や歯を磨くと血が出るような人は、その箇所から口腔内のバクテリアが血中に流れ込みます。
これが元になって全身炎症の切っ掛けを作ります。
歯周病だったり、歯磨きすると必ず出血があるという人は、歯科で治療しておいた方がいいでしょう。
「慢性病は現代食から」まとめ
ちょっと長くなってしまいましたが、本の内容はものすごく密です。
重要な記述ばかりなので、どこを端折っていいのか悩みました。
医学の素人さんにはかなり難しい内容かもしれませんね。
私は鍼灸の専門学校を出ているので、基礎的な医学は一通り習ってはいますが、本には学校では教えていない内容がほとんどなので、理解するのが大変でした。
ものすごく端折ってまとめると・・・
- 高脂肪食、特にオメガ3・6を避ける
- 腸内細菌を過剰増殖させない
- 腸粘膜のリーキーガットを避ける
- 食品添加物を避ける
- エストロゲン様物質を避ける
- 鉄剤を飲まない
この様に書くと、
オメガ3は必須脂肪酸ですよ?
腸内菌は多い方がいいのでは?
エストロゲンは必要ですよね?
貧血傾向なので鉄不足ですよね?
という声が聞かれそうですし、一般的にはそう認識されているかもしれません。
しかし、多くの研究では一般的に言われている情報と逆の結果が出ていたりします。
必須脂肪酸の嘘
腸内環境の嘘
エストロゲンの嘘
鉄不足の嘘
崎谷先生の書籍で伝えられる内容は、現代の健康常識とほとんど逆ではないでしょうか?
しかし、世界の歴史の裏側、世界の経済の裏側、世界構造の裏側などなど、深いところまで勉強すると崎谷氏が言わんとすることが分かるようになってくるのです。
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